T型フォード(Ford Model T)の成功でアメリカの自動車業界でトップの座を手にしたフォード・モーター・カンパニーでしたが、その大成功ゆえにヘンリー・フォードは「T型フォードはすでに完璧である」と思い込んでしまい、代替モデルも作らず、モデルチェンジもほとんど行いませんでした。
しかし世の中に完璧なものなど何一つ存在しません。
T型フォード(Ford Model T)もその例外ではなく、1920年代初めにはその兆候がだんだん現れ始めましたが、ヘンリー・フォードはまわりの意見や忠告に耳を貸そうとはしませんでした。
世界の自動車王であり経営の神様にしても、時代や人の心を捉え続けるのは大変なようです。
最初は大量生産によって安くなり、人々に行き渡ったT型フォード(Ford Model T)も、需要が一巡するとだんだんと新鮮味がなくなってしまいました。
もう既にアメリカの大衆車市場は飽和に達していて上級モデルのないフォードは、GMなど競合他社にそのシェアを食われていったのでした。
加えて購入の際、分割払いという新しい販売方法をとるところも現れるようになり、ここでも差をつけられてしまいました。
ヘンリー・フォードが、大量生産・大量販売で社会に還元しようという考えでT型フォード(Ford Model T)にこだわりすぎた結果、性能からデザインそして販売方法まで全てが時代遅れになってしまったのでした。
ヘンリー・フォードの達成した偉業、素晴らしい考え方には異論のないところですが、結果的にこの時の躓きが大きく、ついにトップから陥落し、現在もGMに次いで2位の座にいます。
1927年、皮肉にも記念すべき1500万台がラインオフしたと同時に、T型フォード(Ford Model T)の生産は終了しました。